第3章 トリップと双子の弟
「あら、どうしたの?イタチ」
ミコトさんもイタチが怒っているのに気づいたようで不思議そうにイタチを見ていた。
そんなミコトさんの言葉も耳に入らないかのように、イタチは私たちを頬を膨らませながら睨んでいる。
いや、もっと厳密にいえば、私を抱っこしているカカシを睨んでいる。
『イタチ?』
「...ねえね、おろして。」
「え、」
「おろして!!」
イタチはカカシを睨みながらそう叫んだ。私はカカシの反応が面白いのでいじわるしたくなりカカシが私を下ろさないようにギュッっと抱きついた。
『いや!おりない!』
「え、」
「おろして!!」
『おろさないで!』
「ちょっと、俺はこれどーすればいいんですか?」
「はははっ、モテモテじゃないか、カカシ!」
「からかわないで早く助けてください。」
カカシはほんとに困っているようで眉が下がっている。
「もう、こらこら、カカシくんが困ってるわよ。イタチ落ち着きなさい。あと、ツバキ。あなた面白がってるでしょ?」
そんなミコトさんの言葉に私はビクッっと肩をはねさせた。
『...カカシしゃん?ごめんなさい。ありがとう。』
そう言うとカカシはもういいのか?という風な顔をしたあと私をおろした。
私が地面に足をつけた瞬間イタチが私に突進してきてこけそうになったがカカシが支えてくれた。
『イタチ?どうしたの?』
「...ねえね、わたしゃない!!」
イタチは一言だけそう言うとカカシをまた睨み付けて、私にギュッっと抱きついてきた。
その言葉にツバキ以外はああなるほどというように頷いて、カカシはとんだとばっちりだとうんざりした顔をし、ツバキは首を傾げて腕の中にいるイタチを見ていたが、しばらくするとまあ、いいかという風にイタチの頭を撫で始めていた。