第10章 暗い月夜
「?、珍しいね、姉さんにもするなんて」
イタチが去っていった方向を見つめ、こづかれた額にソッと触れる、
イタチに、ツバキ、と呼ばれることはそうない。
戦闘中に何度か呼ばれたぐらいで、プライベートでは常に、姉さん、だ。
『...うん、』
サスケに返事を返す。
サスケは、ボーッとしている私の顔を心配そうに覗き込んでいる。
「あ、姉さん!手裏剣の修行につきあってよ」
思い出したように笑顔で言ってくるサスケに、平静を取り戻し、困ったように笑った。
『...んー、私も今日は忙しいの、また今度ね』
手の甲でサスケの額を軽く押した。
「えー!姉さんも~?...最近二人とも全然修行につきあってくれないんだからー!今度っていつ?」
その問いに、一瞬言葉がつまったが、ニコッと、笑いかけ、
『今度は今度..それまでに上手になって、姉さん達を驚かせてよ』
「..!、うん!」
何とか誤魔化せた。
ホッと一息つき、サスケの目線に合わせてしゃがみ込んだ。
『ねえ、サスケ、』
「何?」
『どんなことがあろうと、死んじゃいたいとか思っちゃダメだよ?』
「?...どうしたの?」
『あと、憎しみっていうの無数の鎖で繋がっているの..どんなことがあろうと、憎しみで人を殺しちゃダメ..まずは、真実を知ることから始めるんだよ?、物事を自分の、目だけで判断しちゃダメ..わかった?』
「...?、..分かった」
いくらイタチが望んでいるからって、サスケにイタチを殺させるわけにはいかない..