第10章 暗い月夜
次の日..
『おはよう、イタチ』
「..ああ、」
イタチに挨拶をする、その時に表情を確認した、
何か、覚悟を決めたような...そんな表情だ
準備を終え、玄関で靴を履いているイタチの後ろをじっと見つめる。
「姉さんは、今日は任務ないのか?」
『うん、休みを貰ったの..一応暗部の方には顔を出すけど』
「.....そうか」
イタチが、一族抹殺の任務を受けているということを、実際は三代目から聞いたのだが、私は知らないことになっている。
そのせいか、目を伏せて私の方を見ようとはしない。
「兄さん!」
そこに、私達の可愛い弟が走ってやって来た
「今日、手裏剣の修行につきあってよ」
「俺は忙しいんだ..父上にでも教わればいいだろ」
「だって手裏剣術なら兄さんの方が上手だって...子供の俺でも分かるよ」
弟たちの会話を黙って見守る。
「兄さんはそうやっていつも俺を厄介者扱いする」
イタチが、無言でサスケを手招きする..
何の疑いもせずにサスケが歩いてくる..その勢いを制するように、人差指と中指を額に突き立てるイタチ。
「許せサスケ...。また今度だ」
「イテッ」
今度は...本当にあるのか..
それすらも分からない。
「...今日はお前に構っている暇がない」
そう言って立ち上がったイタチ、
「いつもいつも、許せサスケ、って額をこづくばっかりで...それに、今日はって、いつも見てくれないくせに」
そう悪態をつく弟に背を向け、イタチは外に出るために歩きだす、何かを振り払うかのように...
『イタチ...いってらっしゃい』
ピタリとイタチの動きが止まった、
ゆっくりとこちらを振り向いたイタチの目は少し揺れていて、
優しく微笑んで、小さく首を傾げると、私の方へ音もなく歩いてきた。
『...イタ..チ?』
「許せ、ツバキ」
そう言うと、イタチは、薄く微笑み、サスケにしたように私の額をこづき、外に向かって、歩きだした。