第10章 暗い月夜
外に出て、しばらく歩くと、踞って嗚咽を洩らすイズミの姿を見つけた。
『...イズミ』
静かに名前を呼ぶ。
「..ヒクッ..っ、ツバキ?」
目を真っ赤に腫らした顔で振り返るイズミに小さく笑いかけてゆっくり近づく。
『あんまり泣きすぎる可愛い顔が台無しだよ』
「っ~~うっ、...ツバキぃ..」
泣きながら抱きついてくるイズミをしっかりと受け止める。
「私..何もできない..!!イタチくんが!..ツバキが!..悩んで..考えてるのに!!」
イズミの悲痛な叫びに、思わず抱き締める力を強める
「さっきも!!..イタチくんに...何も言えなかった...!!」
今にも消えてしまいそうなイズミの頭をソッと撫でる。
大切な人の力になれないのは...
どれだけ辛いか..
私にも、よく分かる...
「...っ、私に...もっと力があれば..!..イタチくんの...ツバキの..!力になれたのに...一族のみんなを...止めることが..できたのに...!!」
私の服をギュッと掴み、ボロボロと涙を流すイズミ。
ありがとう...
イズミ、
イタチの事を...
私の事を...
大切に、想ってくれて...
私の頬に、
一筋だけ..
涙が伝った。