第10章 暗い月夜
イタチが立ち去ったあと、イズミがイタチを追いかけるようにこの場を去った。
「お前もここから去れ!!ツバキ!」
ヤシロが私に怒鳴る。
ああ、うるさいな...
周りからの野次に一つため息をつくと、写輪眼を出し、同胞達を睨み付けた。
『黙れ』
周りが一瞬で静まり返る。
自分でも驚くほど低い声が出た。
「...お前も、イタチと同じ考えか?」
父が私に問う。
『...フフッ、愚問だよ、その質問は...私と、イタチは双子だよ?』
ニコッと、笑いながら答える私に、父はそうか、と呟いた。
『...ねえ、父さん..さっき、私達のために起つって言ってたよね』
「..ああ、」
『...自分が満足したいから私達を理由にしてるだけでしょ?』
「!?」
『クーデターを起こしてしまえば、勝っても負けても、うちはの迫害はひどくなるだけ..それが分からないほど、父さんもバカじゃないでしょ』
「.....」
『イタチの言うとおりだよ..私達の事を想ってくれているのならこんな愚かな真似はしない..』
周りは、さっきの私の低く、身の凍るような声が聞いているのか、幻術をかけられたように喋らず、動かない。
『私は、家族が幸せなら、それでよかった..イタチやサスケが幸せなら、それでよかったのに...』
なぜ、貴方達の身勝手な考えで、あの子達の未来を奪われなければならないのだ。
「お前達はまだ幼い、俺たちの考えがわからな『幼くないよ』...」
父の言葉を途中で遮る。
『どちらかというと、父さんと歳近いし』
「?」
私の言っていることに意味が分からないというように首を傾げる父。
『...私は、父さんと、母さんと、イタチと、サスケと...5人で...仲良く暮らしたかった』
それも...もう...
叶わないだろう...
『邪魔してごめんなさい...』
そう言うと、私は静かにその場をあとにした。