第10章 暗い月夜
シスイが死んだことになってから、約1年。
イタチが、暗部の総隊長になり、私もイタチと同じ班で任務をこなしている。
本当は、私も隊長に、と言われていたのだがそれを即答で拒否した。
ダンゾウとは嫌でも顔を合わせなくてはならないが、自分の内側から出てくる黒いものを、今のところは抑えることが出来ている。
ダンゾウという男は、悔しいが実力もさることながら、心理戦も長けている。
イタチの心をうまく操作して操ろうと言葉巧みに攻めてくる...
そんなダンゾウだが、最近少し機嫌が悪い...
理由は、言うことを聞かないからだ...
私が
ダンゾウに何を言われようとガン無視、何を囁かれようとバカにしたように嘲笑う..そんな私に、最初の頃は、イタチと同じようにコントロールしようとしていたが、最近は諦めたようで何も言ってこなくなった。
恐らく、イタチを脅す餌に私を出してはいるのだろうけど..
「あれから1年...。あっという間でしたね」
猿面を被った男が言った。
この男はすでに死んでいるうちはカゲンに成り済ましてうちは一族に忍び込んでいた根の者だ。名はゴズという。
この男にも弟がいて、しかもその弟と双子だということで結構話が合う。
「シスイの死によって、急進派は計画修正を強いられ、決行のタイミングを逃してしまった。結果として彼の死がクーデターを遅らせたのだから、皮肉ですよね」
『...でも、最近...急進派の三人が慌ただしく動いているのをよく見る..恐らく』
「.....」
そんな私達の会話に目もくれず、イタチは、手にした資料に目を通している。
イタチが、最近冷たい...
いや、冷たいというより、どんな顔をして話せばいいのか分からないというように私を避けている..
恐らく、シスイの件で、責任を感じているのだろう。
サスケと一緒にいるときは普通に話してくれるんだけどな..
「分隊長っ!」
バンッというけたたましい音が部屋に響き渡った。
「おいメズッ!お前監視はどうした?」
ゴズの弟、メズがそこには立っていた。
「それどころじゃねぇ。やつら動きますぜ分隊長!」
ついに...来たか