第10章 暗い月夜
おかしい...
そう思ったのは、シスイが起きたのに気づいて数時間後だった。
何がおかしいのか、というと..五日も眠っていたというのに、体が五日前と同じように動くということだ。それはもう、不自然なくらいに..
普通なら、何日も体を動かしていなければ筋肉が硬直して動くのが難しいはずなのだ。
私の目には、起きたときに起きる前と同じように動ける、なんて都合の良いものは備わっていない。
自分の能力の事だ。何となく分かる。
では...一体何故なのか、
「姉ちゃん!!!」
『わっ..!』
急な大声に思わず肩が跳ねる。
「さっきからボーッとしてどうしたんだってばよ?」
ムスッとふて腐れたように私を見る黄色い髪の少年。
『..ごめんね、ちょっと考え事してたの..』
「ふーん、何の事考えてたんだってばよ!」
『秘密』
「姉ちゃんはいつもそれでつまんねぇ!」
『ごめん、ごめん』
『機嫌直してよ、ナルト』
今日はナルトの家に泊まりに行く。前に約束したからだ。
それにもう少ししたら中々会えなくなるだろうから、今のうちに会っておきたいと思った。
話を聞かずボーッとしていた私にナルトがどうしようかな~っと頬を膨らませながらそっぽを向いている。
『...お願い、好きなもの奢ってあげるから』
「ほんとか!?」
『おっと...』
急に顔を上げてガバッと抱きついてきたナルトを軽く受け止める。
『うん、何が食べたい?』
「あのさ!あのさ!俺ってば一楽のラーメン食べに行きたいってばよ!!」
この頃からラーメン好きだったのか...
ちゃんとした食事を取らないと大きくなれないよ、と言おうと思ったが言えなかった。
だって、目をキラキラさせながらこっち見てるんだもん...無理だよ、言えない、
『んー、まっ、たまには言いかな..じゃあちょっと早いけど晩御飯食べようか』
「やったー!!!」
可愛い...