第9章 中忍と暗部
「...姉さんは、」
急に出てきた私の話題にビクッと肩を跳ねさせる。
「ツバキには...約束を守れなくて、悪かったと伝えてくれ...本当の妹のように大切に想っていた、と、」
『.....っ、』
その言葉に、涙が溢れてきた。
「.....」
「頼めるのは親友のお前だけだ。この里を...うちはの名を...守ってくれ」
消え入りそうなシスイの声に涙が私の頬を伝って落ちた。
「それと、もう一つ、お前に渡したいものがある」
「...何だ?」
「万華鏡写輪眼だ」
「!?、シスイ、それは...」
「...そうだ」
イタチと私は、既にシスイの過去の話を聞き、万華鏡写輪眼の開眼方法を聞いている。
だからこそのイタチのこの焦りよう...
「俺を殺せ、イタチ。そして万華鏡写輪眼を得るんだ。そうすればお前はまた一段、強くなる」
「そんなこと...」
できるわけない、と言おうとするイタチの言葉を遮るように、シスイは続ける。
「どのみち俺は助からない。ならば、お前に力を託して死ぬ方がいい」
シスイの気配が、どんどんこちら側に近づいてきた。静かに穴からでる
「さぁ、やれっ!イタチッ!」
イタチの気配が動き出す。
「そうだ...お前の器は一族なんかに収まりはしない。お前ならばきっと、一族の運命すらも越えられる。いや..」
「シスイ..」
「お前の器は、忍という価値観すらも呑み込むくらいに大きいと、俺は思っている」
「俺の器?」
「.....お前と...ツバキと、出会えて、よかった..ありがとう...」
「っ、」
「後は頼んだぞ」
『死なせるわけ..ないでしょ、』