第9章 中忍と暗部
落ちてきたシスイに触れると、すぐに飛雷神の術で、予め見つけていた、絶対に誰も来ない場所へ飛んだ。
『.....』
弱っているシスイは、気を失っているようで、何も喋らない。
静かに目を閉じて、ゆっくりと目を開けた。
『豊雲野(トヨクモノ)』
右目を閉じ、左目をカッと、あける...
すると、シスイの顔色が良くなり、傷がついていたところも全て綺麗に治り、体内にあった毒も中和されていった。
『っ、...はっぁ..』
ドクドクと高鳴る胸を抑える。
一、二度深呼吸をするとシスイを抱え、立ち上がり、テンゾウが使っていたのをこっそりコピーした木遁で作った家の中へ入る。
周りは結界で囲まれており、そう簡単には入ってこれない。
因みに、この結界はクシナさんに教えてもらった術だ。
シスイを用意していた布団に寝かせる。
『...何が、悪かった、よ、』
血色の良くなった顔で眠っているシスイの顔を覗き混みながら、憎々しげに言った。
『...一緒に背負ってくれるって言ったじゃん..絶対に死なないって言ってたじゃん..』
そう言って、優しくシスイの髪を撫でる。
『勝手に諦めて...死のうとしないでよ..バカ』
出てくる涙を拭いもせず、私は、寝ているシスイの手を探して、ギュッと握った。
まるで、生きていることを確認するかのように...