第9章 中忍と暗部
クーデター決行の日程が決められる日の前日。
「明日がどんな日か、お前も知っているだろう!!」
父の怒鳴り声が聞こえ、父の部屋の襖を開こうとしていた手を引っ込めた。
明日は会合に行けない..その事を父に伝えようと部屋を訪れたときに聞こえた怒号..
恐らく、イタチも...
『...失礼します』
隣の部屋で動く気配を感じながら、障子を開ける。
「...何だ?ツバキ..」
『明日の会合に行けなくなりました』
「!」
「何だと?」
開けた先には、胡座をかいている父、その隣に正座している母、こちらに背を向けるように正座しているイタチがいた。
「お前たちは、揃いも揃って...」
父と母の目は、怒りでつり上がっている。
『..イタチも?』
「...ああ、」
私が横目でイタチを見ながら質問すると、イタチもこちらを横目で見ながら答えた。
「俺は明日、任務に就く」
『私も』
イタチの隣に正座しながら言う。
「...何の任務だ!?」
私達は暗部だ。暗部の任務には守秘義務があり、ほいほいと話すことはできない。
なぜ、そんな分かりきったことを聞くのか...
昔は、うちは一族を助けたいと、必死に考え、想っていたが、今はそうも思わなくなってきていた。
「それは...言えない、極秘任務だ。」
少し苛立ちの混じったイタチの声に、ああ、イタチも父に、母に..この人達に失望しかけているんだなと悟った。
私達の後ろにいる、弟の気配に気づいてすらいない、この人達に...
張りつめた空気がながれる。
「ツバキ、イタチ、お前たちは一族と里の中枢を繋ぐパイプ役でもあるのだ..」
チラリとイタチの方を見る。悲しげで、疲れきった顔をしている。
「それは..分かってるな?」
「ああ..」
イタチが返事をしたのを確認すると、私の方を静かに見る両親..
...イタチを、ここまで傷つけておいて、それをこの人達は気づいているのだろうか?
返事を出来ずにいると私を、見つめ続ける両親..