第9章 中忍と暗部
基本、一族の言うことに意見をしない私が冷たい目で言ったせいか、父やイタチが驚いたように目を見開き、固まった。
「今、何と言った」
『いい御身分ですね、と言ったんです』
「貴様!!」
私の胸ぐらを掴んだヤシロにイタチが反応して私を助けようとするが、手で制した。
「...姉さん、」
『私とイタチは危険を承知で暗部に潜入しているんです...任務でもS級ランクの犯罪者と戦うことだってあるし、里の秘密を持ち出したとなると、すぐに殺されるのは私とイタチです...つまり、あなた達が言っていることは、私達二人からすればこう捉えることができる。』
そこで、一度言葉を区切りヤシロを睨み付けながら言った。
『私たちの命はどうでもいい、最悪死んでも、一族のために動いてくれる良い駒だ...』
「何を言って...」
狼狽えたように私を見るヤシロ、目には怒りと驚愕の色が浮かんでいる。
『確かに、私とイタチは忍です。いつ死んでもおかしくない..が、貴方達にそんな風に思われているのなら、動くのは癪です』
「お前は、一族のために命を捧げようと思わないのか」
『...思いません、私が命を捧げようと思っているのはイタチとサスケだけですから』
その瞬間左頬に鋭い痛みが走った
「姉さん!!」
「ツバキ!!」
イタチとシスイが駆け寄ってくる。
「いい加減にしろ!!ヤシロ!!」
父さんも自分の腹心を怒鳴り付ける。
「...お前は、里側の味方ということか」
『いえ、私は...イタチとサスケの味方です』
口の中で血の味がする。
イタチは、私の頬に触れながら、シスイは、私の右手を握り、ヤシロを睨み付けていた。
『それに、貴方は自分で一族のためだと言っているが、そうではないでしょ?』
「何?」
『貴方は、自分のためにしているんだ...』
「っ!!」
激怒するヤシロを父が止めている。
そんな二人の様子を見て、私は、自嘲気味に笑った...