第9章 中忍と暗部
今はうちはの会合中だ。
「決起の際の予定参加人数、侵略経路、攻撃目標と暗殺対象のリストアップ。そして一番重要な決起の日を次回の会合で定めたいと思う」
クーデターの実行は、もう目前まで来てしまっている。
止める方法など、最早一つもない。
「ーー、くれぐれも気を付けるように」
父の話が終わり、空気が柔らかくなった。
が、
「ツバキとイタチはいるか?」
ヤシロの声で空気がまた張りつめた。
『はい、』
「ここにいます」
立ち上がってヤシロの目を見つめる。
「先日の霜の国との交渉決裂の席に、お前たちもいたんだろ」
...先日、霜の国と同盟締結のために最終的な条件などを明記した書状を交換するという任務を受けていた忍が霜の国の忍に殺された。
私たちの任務は、交渉決裂を確認次第、敵を殲滅することだった。
言うまでもなく、交渉は決裂..私達は敵の殲滅を行ったーー、
「答えろ!!」
「暗部の任務は部外者に語るべきものではありません」
「本気で言っているのか」
私とイタチは、何も答えず、ヤシロの細い目を見つめる。
「お前らが暗部に入ったのは何のためだ..里の中枢に近い場所で様々な情報を得て、俺達に報せるためだろ」
「ヤシロ」
父さんが私たちに助け船を出すために腹心の名を呼ぶが、それに答えようとせず、ヤシロは私たちを睨み続ける
「お前たちが暗部に入って俺達に何をもたらした?俺達はまだ一度も、お前達の口から里の秘密を聞かされていない」
「知らないから話さないだけです」
「本当にそれだけか?」
「どういう意味です」
イタチもヤシロを睨み付ける。
ヤシロが言おうとしていることはわかる。
私たちが一族を裏切っているんじゃないかということだろう。
まあ、確かに裏切ってはいる、秘密情報を知っていながら一族には話していないのだから..
『...自分達は、安全なところから見ているだけなのに、よくそんなにもペラペラと文句が出てくるものですね?』
「なに?...」