第9章 中忍と暗部
さっきの歯切れの悪い感じは、私とどう接したらいいかわからなかったのだろう。
『テンマは気にしなくていい、私が勝手にテンマとあの男に突っ込んだ。結果的に私がテンマを助けるような形になった。以上』
「.....」
私の言葉に目を見開いたまま固まっているテンマに優しく微笑みかけた。
『グチグチ悩んでてもしょうがないよ、人生楽しんだもんがち、という事で甘味屋に行こう』
そう言って、勢いよく立ち上がった私だったが、
『!、..?』
座ったまま俯いているテンマに手首を握られ、中腰のような姿勢のまま静止した。
「.....ずっと、自分が腹立たしかった」
『?』
そっと、またテンマの横に座り直す。
「あの時、俺は、あいつとの力量の差を量れていなかった。それで、闇雲に突っ込んで、お前に怪我を負わせた...あいつと、お前が戦ってるときも、俺は、全く動けなくて、悔しかった...」
ポツリポツリと話すテンマの話を黙って聞く。いつの間にか、手首を掴んでいたテンマの手は、私の手をギュッと握りしめていた。
「...病院で、点滴に繋がれたお前の姿を見たとき、すごく、恐くなったんだ..人を、仲間を、、お前を失うことが、すごく恐くなった..お前は、俺のせいで怪我をしたのに、俺に笑いかけてくるし、さっきだって、普通に話しかけてきた、それに、動揺したけど、嬉しかったんだ」
「ずっと、考えていたんだ...お前は、俺の事を恨んでないのか、って」
『?、何で恨むの?』
「...俺のせいで怪我、させちまったし、お前がやられてるのを黙って見てるしか出来なかったから」
『...そんな小さい人間じゃない、それに、二人で戦ってたら、どちらかが死んでたよ、確実にね』
私はため息をついて、テンマの方を見ながら言った。
『あの時はあれがベストだったの、むしろ、私がテンマに感謝したいくらい..あの時、テンマがまた突っ込んでたら本気でヤバかったから、』
『グチグチ言わないの、予想以上に気にしててちょっとビックリなんだけど』
そっと私の顔を見上げたテンマの顔は、いつもの強気な表情とは違い、不安そうな表情だった。
ちょっと可愛いとか思ってない