第9章 中忍と暗部
「暗部...ですか?」
不満そうな声で、ヤシロが言う。それを黙ったまま頷いて答える父。
「我ら警務部隊と暗部は、木ノ葉の治安を巡って幾度となく衝突している間柄ですぞ」
「そんなことは俺が一番よく知っている」
私達を暗部に入れることに、それぞれが抱く鬱憤が一気に噴出した。
自分は人の上に立ち、纏めていこうとすることはしないくせに、こういう時だけグチグチと文句を言う。
変わらないな、人というのは..例え、次元が違っても
「聞いてくれ!!、皆の想いは解っている。俺も同じ気持ちだ。だからこそ二人を暗部に入れる。俺の子供達には里と一族のパイプ役となってもらうつもりだ...我らの集落を暗部の根の者が密かに見張っていることは、皆も知っての通りだ、ならばこちらも里に監視の目を持つ」
「それがツバキとイタチだと?」
同胞たちがどよめく。
私は、顔をしかめて、父を見た。
なぜ...
そんなことをする必要があるのか、
同じ、
「同じ里の仲間なのに...」
隣から声が聞こえた。
イタチだ。
イタチの方を見ると、寂しそうな表情で黙っている。
「いま、なんと言った」
父の部下であるヤシロがイタチに問う。
元々考えが似ているせいなのだろう私が考えていたことを同胞達に隠しもせず言いきり、場を覆う殺気が濃くなった。
「あちらがこうしたから、こちらもこうする。相手が殺したから、復讐する。そうして争いは生まれる」
その通りだ。
「お前は木ノ葉の肩を持つのか?」
この男は、イタチの言うことが正しいと感じている。だから、こんなにもキレているのだ。
「どちらの味方かという次元で物事を捉えるから、大局が見えなくなる」
「貴様っ!」
激昂したヤシロが、イタチの襟首をつかまんと立ち上がる、それと同時に、
殺気が強くなった。
その場にいる全員が、イタチや、父ですら固まってしまうほどの殺気は...
『落ち着いてください、』
私から出ていた。