第9章 中忍と暗部
次の年、私達は中忍試験を受けた。
一次試験の筆記では二人とも歴代二位の得点を叩きだし、二次試験は死の森を二人でこれまでの最短時間を大幅に短縮してのクリア。
三次試験では、イタチは一回戦は相手の棄権により不戦勝、二回戦は圧倒的な実力差を見せつけ勝利、
私は一回戦はテキトーに相手を投げ飛ばし勝利、二回戦は開始1秒もかからず相手を気絶させ勝利、
二人とも今までの戦いぶりから三回戦は参加する必要はないという上層部の判断によりすべての試験を終了。
晴れて私達双子は中忍試験を合格した。
「このたび、娘と息子が中忍に昇格した」
うちはの会合、そこで私達が中忍に昇格した事を父は淡々と告げる。
「おめでとうございます」
父の部下であるヤシロが目を細めて言った。その言葉に後押しされるように他の者たちも一斉に祝いの言葉を口にした。
「お前たちからもひと言挨拶をしろ」
父の目線の先には、真新しい木ノ葉のジャケットを着込んだ子供たちが立っている。
「『はい』」
静かに、抑揚のない声で、返事をする。
「これからも木ノ葉、そして一族のためにこの身を投げうって忍道に精進していく覚悟、ですが、」
『...中忍になったとはいえ、まだまだ未熟、拙いところもあると思いますが』
「『よろしくお願いいたします』」
そこまで言うと、同時に深々と頭を下げる。
「ツバキとイタチほどの才能のある忍が警務部隊に入ってくれれば、里でのうちはの立場も改善するやもしれませんな」
いや、もし私達が警務部隊に入ったとしても、現状が良くなることはないだろう、
この、うちは一族の迫害も、誰かが手を回してそうなった可能性がなくはない。その誰かと、その一派が死なない限りは..
「ツバキとイタチは警務部隊に入れないつもりだ」
私は、スッと目を閉じる。
父が次に言う言葉が分かっていたからだ。
入りたくない、とは言えない..
私達に、拒否権などないのだから...
「俺は、二人を暗部に入れたいと思っている」