第9章 中忍と暗部
「今日はここまでにするか」
シスイの一言で、組手をしていた私達はお互い距離を取り、息を整えた。
『...また勝負つかなかったね』
「ああ、姉さんとやるといつもこうなる」
20分ほど激しい組手を繰り広げた私達は二人同時にため息をついた。
シスイとは勝負がつくのだ、が、自分の双子の片割れとやると、どうも中々決着がついてくれない。
『考えることが同じだからかな、』
「...だろうな、」
私の言葉にイタチもコクリと頷きシスイの方へ歩き始めた。
「それにしても、お前たちはもう下忍の器じゃないな、」
水筒を私達に投げながらシスイが言った。
「今年の中忍試験も見送りが決まったんだろう」
「ああ、」
『うん、』
そう答えると、私達は同時に水筒を傾け、冷たい水を口に含んだ。
この会話でわかると思うが、一年たった今でも私達は中忍試験を受けることが出来ないままでいた。
中忍試験は、担当上忍の推薦がないと受けることができないようになっている、が、ユウキは去年も今年も私達の中忍試験への参加を見送ったのだ。
「担当上忍は水無月ユウキとか言ったな」
その問いにコクリと頷く。
「お前らに嫉妬してるんじゃないのか?お前らの才能がうとましくて、中忍試験に推薦するのを見送ってるんじゃないのか」
「そんなこと、考えてもしょうがないだろう」
『私はともかくイタチは完璧に任務をこなしてるし、実力もある、上層部から推薦が来るのを待つしかないよ』
実際、原作でもあの男がイタチを中忍試験に強く推していたはずだ、くるとしたら...来年あたりだろう。
「姉さんだって任務の出来も実力も俺と対して変わらないだろ」
『そうだったかな?』
とぼけたように首を傾げる私にイタチは深いため息をついた。
「だが、お前らはもう十分に「その話はよそう」...」
中忍試験を受けられなくて一番悔しがっているのは他でもない、イタチだ。
イタチは悔しそうな顔をしながらシスイの言葉に被せるようにそう言った。