第8章 下忍
「っ..!!」
『っ!、はっ...』
胴を貫かれそうになっていたテンマを間一髪助けはした、が、
「姉さん!!!」
「ツバキ!!!」
クナイが私の腹をえぐっていたのだ。
傷口を抑えるが、ほとんど意味を成さず手から紅い液体が伝って流れ落ちていく。
しまったな、傷が中々深い。
医療忍術で治したい所だがそれをオビトさんがなにもしないで黙って見ていてくれるという保障はどこにもない
「お、おい、ツバキ!」
『?、ああ、テンマ、無事で、よかった、』
途切れ途切れになりながらも言い切る。
「おまっ、そんな事言ってる場合じゃ『テンマ』!」
『敵から、目をそらしちゃ、ダメ..っ、』
「...無謀な突出によって功を得ようとする者は早死にする。それが忍の世の現実だ..が、今回はそいつのおかげで救われたな」
「くっ、」
テンマが苦し気な声を上げる、私は横目でイタチを見る、
イタチは私の腹の傷を見て、泣きそうな顔をしていた。そんな弟に安心させるように微笑むと、イタチは目を見開き、いつもの表情になった後コクリと頷いた。
オビトさんはイタチの方を向き、
「お前は墜ちなかったか..、しかもこのガキのように愚かな突出もせず、俺と自分の力量を冷静に見極めようとした。見事だ、うちはイタチ」
そう言った。
「どうして俺の名を..」
知っているに決まっている。幼い頃に、何度も会っているのだから
「うちはのことはなにもかも知っているつもりだ」
私は、オビトさんのその言葉を聞くと同時に、瞬身でイタチとオビトさんの間に入った。
「.....うちはツバキ、お前に用はない。俺の目当ては、そこの老人の命だ。このままおとなしく見ていてくれるというのなら、お前たちの命だけは助けてやろう」
『...あの時は殺そうとしたくせに』
「時間がなかったからな、俺の野望のため、邪魔する者は殺すという選択肢しかなかった、が、今は違う。」
『...言っておきますが、今、暗部の忍がこちらに向かっています、今回も時間はないかと』
「...またお喋りで時間を稼ごうとしているのか、学習しないやつだ」
『!!』