第8章 下忍
アカデミーを卒業して1年がたった。
1年でたくさんのことがあったが、今のところは何もかも順調にこなせている。
うちは一族の中では今でも里への不満が高まっている。下忍になって少したった頃、私達姉弟はうちはの会合に参加させられた。
そこは不穏な空気が漂っていて、少し、恐かった。
隣に座っているイタチは悲しそうな顔をしていて、私もどうすればいいのかわからなかった。
あれから、何度も会合に参加しているが、どうしてもあの空気には慣れなかった。
今回の任務は火の国の大名警護任務だ。
「戦争が終わって各国の緊張が緩んでいるから、各国間の往来は大分安全になっている。だからこういう任務が下忍主体のチームに振り分けられることもある」
本当に大丈夫なのか、と考えながら手元にある資料に目を通す。
「俺達四人で警護するんですか?」
資料を見ながらテンマが問う。
「表面上の警護はそういうことになるね。でも裏では暗部のフォーマンセルが一隊、陰から見守ることになっているし、そもそも大名には国中の忍から有能な者だけを集めた独自の警護部隊”守護忍十二士“がついているからね」
「私達は形式上の警護っちゅうことやね」
「まぁ、そういうことだ」
そういえば、この任務って...もしかして、
最近原作にほとんど関わりのないことばかりが起こっていたから注意してなかった...この任務で、テンマが...
そこまで考えると、ばっとテンマを見た、何故かテンマもシンコもこちらを見ていて目が合った。
「...なんだよ」
『..いや、何でも』
私はスッとテンマから視線を外し、資料に目を戻した。
「集合は明日の朝四時。場所はあうんの正門だ。遅れるなよ」
全員がそれぞれ返事をする。その返事を聞くと、ユウキは一言残して消えた。