第8章 下忍
二人でスタスタと歩いていると、
「ぁ、」
前で揺れる黒髪を見て、イタチが小さく吐息を漏らすように言った。
あれは...
『...行っておいでよ、イタチ』
「いや、いい」
『だってあれ、イズミちゃんでしょ?』
「.....」
そう、前にいたのはイズミちゃんだった。
『私はちょっと買い物頼まれてたから、終わったら帰る、先に帰ってて』
「いや、俺も行く」
『いや、いいから』
「俺も行く」
『あー、もう、だから、..イズミちゃーん!』
「!」
「?」
あまりにもイズミちゃんと帰るのを拒否するイタチに痺れを切らし、大声でイズミちゃんの名前を呼んだ。
私の大声にイズミちゃんは首を傾げながら振り返り、呼んだのが私だというのに気づくと、驚いたように目を見開いた。
「えっと、」
混乱したように私を見たイズミちゃんに私はニコリと笑いかけたあと、スタスタとイタチの手を引いて近づいていった。
「あの、イタチ君?」
「.....」
私よりも話したことのあるイタチに目を向けて話しかけるが、イタチは目をそらしてため息をついていた。
『あのね、イズミちゃん』
「え、は、はい」
『?、私今から用事があるからイタチとうちはの集落まで帰ってあげてくれない?』
なんで敬語?と思ったが、とりあえず話を続ける。
「え?」
「姉さん!」
『お願いしていいかな?イズミちゃん、』
「は、はい」
『ありがと、じゃあ、また家でね、イタチ』
「俺も行く」
『いいって、そんなにたくさん買う訳じゃないし』
「いや、俺も『イタチ』...」
『じゃ、よろしくね?イズミちゃん』
「は、はい」
立ち去り際に、イズミちゃんにウィンクをしてスーパーへの道を歩き始めた。
「あの、イタチ君、?」
「...はぁ、帰るか」
「あ、うん、ねぇ、イタチ君」
「なんだ?」
「今度、ツバキちゃんにお喋りしたいって言ったらしてくれるかな?」
「!、ああ、喜んで喋りに行くと思うぞ」
「そっか、うん、今度誘ってみる!」
「?、ああ」