第8章 下忍
「ったく!女ってのは、顔がいい男には優しくなるからな」
「なっ、なんで私がそげんことでイタチば庇わないかんとよ。大体イタチはまだ七歳やん。私は十三よ?恋愛対象にもならんっ、それに男だって綺麗な女には優しくなるたいね!!」
「恋に歳なんか関係ねぇだろ!それにどこに綺麗な女がいるんだよ!」
『ぷっ...』
「ふぅ、」
私はテンマの恋に歳なんか関係ない発言で少し吹き出してしまい、慌てて口を手で覆った、イタチからは恐らく無意識だろうため息が漏れていた。
「おい、手前ぇ、何呆れてんだ、お前も笑うな!」
テンマの激昂に一切怯む様子も見せず、目を見つめ返す、
「...なんだよ、」
私の視線に少したじろいだように目をそらした。
『いえ、二人とも仲がいいんだなと考えていたらつい笑ってしまって、気を悪くしてしまったのならごめんなさい?』
私が首を傾げて無表情で謝ると、素直に謝られると思っていなかったのか、テンマは固まってしまった。
テンマをつつこう思い近づこうとすると、急にイタチにパシッと左手首を掴まれた。そして、そのまま手を引っ張られ立たされた。
『..イタチ?』
そのイタチの行動にテンマがはっと気づいたように見上げてきた。
「逃げんなこの野郎!」
「ツバキちゃんもイタチ君も、この馬鹿男に一発ドカンと言ってやらんね!」
『あ、えっと、』
「今日は顔合わせだけと聞いていますが?」
どうやら、イタチは早くここから去りたいらしい、
「う、うん」
「だったらもう今日の予定は済んだのではないでしょうか?」
「そ、そうだね」
「ならば失礼します。姉さん、帰ろう」
『ん、わかった、では、お先に失礼します』
「あ、明日からは正式な任務だから、集合時間に遅れないでね」
イタチと私は立ち去ろうとした足を止め、肩越しに先生を見て、
『「解ってます」』
と言うと、二人で家までの道を歩き始めた。
後からはテンマの怒声やシンコの叫び声が聞こえるが、振り返ることはせず、歩いていった。
『イタチ、どう?』
「..騒がしくなりそうだ」
『フフッ、そうだね』
「付き合いきれない」
『コミュニケーションも大切だよ?』
「..わかってる」