第7章 アカデミー
「!、そうだろ?」
シスイは私の頭をクシャクシャと撫でて笑いかけた。
『うん。そう、かも』
父親も、母親も、私に興味がなく、家にいることも少なかった。
小、中学校には行かせてもらえてたからまだいい方だったんだと思うけど。
物心つく頃には、ほとんど家には親はいなかった理由は大人になってからわかった。
両親は、どちらも浮気をしていたのだ。
けど、子供の私に、それが分かるわけもなく、
ママはいつ帰ってくるのかな?
パパはどこにいるのかな?
と、毎日、両親を家で待っていた。
小学校にあがると、両親は少しずつ家に帰ってくるようになった。
小さい頃は、帰って来て、私がお帰りをいう前にパンやおにぎり、ヨーグルトのような元々出来上がってるものを置いてまた去っていく、ということをしていたのに。
でも、嬉しくはなかった。
両親は、帰ってくるたびに、私に暴力を振るっていたから。
自分が何か悪いことをしただろうか、何か気にさわることをしただろうか、
それすらもわからず殴られ続けた。そして、気がすんだらお金だけ置いて家から出ていく。これが、中学を卒業するまで続いた。
高校と大学は、家を出て、自分でお金を稼いで何とか通い続けた。
小学生の時から、親への愛なんて無くなっていたから。そう、思っていたから。
「ツバキ、どうしたんだ」
『何が?』
「...泣きそうな顔してるぞ」
『...』
そう言われてシスイから目をそらした。
今、気づいてしまったから、今の家族との関係にスゴく幸せだと感じた。ミナトさんとクシナさんに色んな事を教えてもらって、愛してもらって、それが、スゴく...スゴく嬉しかった。イタチが、私の事を慕ってくれるのが、嬉しかった。
『少し、混乱してるだけ。』
心の底では、前の両親の事を私は、愛していたし、両親に愛してほしかったのだ。
『...私って、いつからこんなに弱くなったのかな。』
ぼそっと呟いた言葉が、シスイに聞こえたのか、怪訝そうな顔をされたけど、何でもないと言って笑いかけ、イタチの元へ歩を進めた。