第4章 短冊に込めた願い~三成編~(微裏)
『七夕の 夜空にかかる 天の川 願わくば 貴女のもとへ 逢いにらむ』
『逢えぬ今 流れる星に 願い込め 愛しき花に 綴らむ』
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三成が戦に行ってから約一月が経とうとしていた。
戦が長引き、先の大雨で安土城に戻るのが大幅に遅れていた。
三成は戦では参謀役として、様々な手配や情報伝達をするために行っている。
幾ら前線で戦わないとはいえ、まだ付き合い初めた歌恋には不安で仕方なかった。
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「歌恋!三成から文が届いたぞ!」
「本当に?」
安土城でお針子の仕事をしていると、お針子部屋に秀吉が入ってきて恋人からの文が届いたと知らせてくれた。
「あぁ、俺にも届いていたが、あと5日もすれば帰ってくると書いてあった。」
「あと5日後かぁ…。」
ふと考えると今日は7月3日。
「七夕には間に合わなそうだね…」
初めて一緒に過ごす行事の為、二人でその日は城下に出掛ける約束をしていた。
「歌恋様…?私 達は大丈夫ですから、お部屋に戻られて三成様からの文をお読みになって来たらどうですか?」
お針子達が気を使ってくれ、秀吉にも『そうしてこい!』と背中を押され?部屋に戻り1人愛しい恋人の文を読んだ。