第17章 ~恋人は先輩パティシエ☆秘密のケーキは甘さ控えめ?伊達政宗
10月頭。巷ではハロウィンムード一色だがうちの店では毎年9月に二人一組でチームを組み、その年のメインのクリスマスケーキの担当を決めるオーディションなるものがある。
先輩パティシエと新人から3年目までのパティシエのペアをくじ引きで決められる・・・
去年はベテランの先輩と組んだが惜しくも2位・・・。
今年こそは・・・やりたい!
お店のガラスケースに自分の考えたクリスマスケーキが並ぶのを想像するだけでも幸せな気持ちに浸る・・・。
そんな思いでくじ引きを引き開いていくと・・・
『伊達政宗』
と名前が書かれた紙。
「えっ?!」
思わず心の声が漏れた。
まさかの恋人でもあり、一番人気のパティシエの名前がそこにあったからだ。
「おっ、歌恋とか。絶対に1位取らせてやる。」
かぁ・・・/////
そう耳元で囁かれて思わず赤くなる顔。
ずるい・・・。
政宗はいつもそう。みんなに聞こえない程度の声で気持ちをストレートに伝えてくる。
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そして見事宣言通りに予選で1位を取り、今年のクリスマスケーキは政宗と私のペアがやる事になった。
「よかったね歌恋!念願叶ったじゃん!」
仲良くしてくれてる先輩パティシエの陽菜ちゃん。
陽菜ちゃんの抹茶プリンはうちのお店でも人気商品で、甘さ控えめ、しかも口に入れるとフワッと抹茶の香りが広がって、そして口溶けがいいから本当に何個でもペロリといけそうな程。
「彼氏と一緒にクリスマスケーキ作れるなんて最高のクリスマスプレゼントだね!」
「陽菜ちゃん・・・!それは・・・」
耳元でこっそりと言われて、慌てて弁明しようとしたけど、ウィンクして手を振ってその場を離れていった。