第15章 【KAGUYAHIME~かぐや姫~】
【KAGUYAHIME~The story of King and Alice's love】
ふとある夜の事。
ランスロットと正式な夫婦となり、クレイドルのことをもっと知っていきたいと思い、通い始めた赤の軍の宿舎にある図書室。
最初は難しくて読めなかった字もだいぶ読めるようになり、最近では物語を読めるまでに。
そうして赤の軍の宿舎の図書室で見かけた一冊の本。
「あっ、これロンドンにいた時に見たことある!」
少し古びた感じではありつつ、赤の軍に置いてあるだけあり、装丁はしっかりとし、金の糸で刺繍も施されていた。
それ以外にもいくつかロンドンで読んだことのありそうな本を手に取り、今宵もランスロットの部屋で愛する人を待つ間にと本を読んで待つことにした。
「こんばんは、歌恋」
「エドガー!」
数冊の本を手に取り部屋へ戻る途中にエドガーと会い声をかけられた。
「我が主からの伝言で、今夜は少し早めに仕事が終わりそうなので、部屋で待っていてほしいと。」
「分かった。ありがとう!ランスロット様に無理しないように伝えておいてくれる?」
「ええ、わかりました。」
エドガーに挨拶をし、部屋に入ると窓からは満月か煌々と照らされ、明かりを付けずとも本が読める明るさだった。
窓の側で椅子に腰掛け、いくつかある中からとある本を読みはじめた歌恋…
窓からは大きな満月が見え、歌恋を照らしてるように明るく光を放っていた。
「歌恋・・・?」
部屋に戻ると静かにその本を読み耽るアリスの姿が見え、ランスロットが声を掛けた。
「・・・」
(俺の声が届かぬまで夢中になってなにを読んでいるのだ・・・?)
エドガーから「アリスは今夜も本を読んで我が主の帰りを待つようですよ。」
と聞かされ、待たせてはいけないと思い少し早めに切り上げ部屋へと戻ってきた。
夢中になって読んでいる歌恋の姿を照らす月
それはまるで月から光の道が掛かり、吸い込まれるかのように思えたランスロットは思わず歌恋の横から頬にそっと手を触れ存在を確かめた。