第3章 短冊に込めた願い~秀吉編~
政宗の御殿に入り一刻が経った頃・・・、秀吉は御殿の近くの木の影に隠れて待っていた。
すると・・・
「ありがとう!政宗、やっぱり政宗に相談してよかった!」
「おぅ!なんかあればいつでも来い。何ならば俺が攫って行ってやるぜ!」
「もう!そうやって冗談ばかり言うんだから・・・!」
二人の楽しそうなやり取りが聞こえてきた。
(なんだか楽しそうだな…。最近あんな姿俺の前では見せてないな…、歌恋とゆっくり話をしてないな…)
秀吉はそのまま1人で城へ戻り、残っていた書類仕事を三成に任せて早めに御殿に帰ることにした。
「今日はたくさんあいつを甘やかしてやりたいな…」
政宗の御殿から戻る途中のお店で買った簪をもち、愛しい妻の元へと足早に向かった。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「♪♪♪~」
機嫌よく鼻歌を歌いながら数日後の七夕の短冊に願い事を書く。
「よし、出来た!」
【秀吉さんの妻としてもっと魅力的で相応しい女性になれますように】
裏に小さく【早く秀吉さんの赤ちゃんを授かりますように】
と書いた。
「私だって、子どもが欲しくない訳じゃないし、早く欲しいけどさ…、もっと魅力的な女性にならないと秀吉さんに飽きられちゃうから頑張らないとね。」
猿のウリに話しかける。
「何ががんばるんだ?」
「えっ?秀吉…さん?どうして・・・?」
「お前に会いたくなったから仕事は三成に任せてきた。」
「大丈夫なの?だって、三成君がまだ当分の間は帰れないかもしれない…って。」
嬉しさ反面、自分の為に無理をさせたんじゃないかと不安になる…。
「大丈夫だ。七夕の日までに終わらせたくて少し詰め込んでいただけだ。」
秀吉は七夕の日までに仕事を終わらせようと詰め込み、そのため中々御殿に戻れなかったと話してくれた。