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太宰さんのおねぇちゃん【文豪ストレイドッグス】

第1章 さようなら、マフィア


織田作が死んじゃう。

そう気付いたのは、何時だったか。

もう忘れてしまった。

もう何回時を戻しただろう。

もう疲れてしまった。

「失礼します、ボス。」

入ってきたのは織田作だった。

床に座っている私は見上げないと織田作の顔が見えない。

こちらまでずかずかと私のもとへ歩いて来るとしゃがみ、

視線をあわせてくれた。

「最近、元気がないと聞いた。

太宰達にも云ってないらしいな。心配していたぞ。

俺が聞いても教えてくれないんだろうが……どうしたんだ?」

「織田、作。」

「目が死んでいる。」

「織田作。」

「……本当にどうしたんだ。

何時もの馬鹿みたいに明るいお前は何処へ云った?」

「織田作。

もう、何処にも……行かないでくれ。」

きゅっと織田作の服を掴むと織田作の胸にダイブする。

「……!?

どうしたんだ?」

焦りながらも引きはがそうとはしない織田作は本当にかっこいい。

「織田作。

あのね、絶対に怒らないでね、心して、聞いてくれる?

あと、こんなこと聞かなきゃよかったって、後悔しないでくれる?」

織田作の胸から顔を出すと恐る恐る聞いた。

一度口に出すと止まらないようで、

今まで絶対に本人に云うまいと思ってた感情は直ぐに過ぎ去る。

「…………分かった。

怒りもしないし、後悔もしない。心して聞く。」

しっかりと云ってくれたので安心すると、

云うべき事を頭で整理しながら云いはじめた。



「私が気付いたのは随分と後だったけれど、

人の死というものには二つパターンがあるらしい。

一つはただの不運でその時たまたま死んでしまった場合。

この場合はその原因さえ除けばその人は死なないことになる。

二つはただの不運ではなく、必然的に死が来てしまった場合。

これはその原因をどんなに除いてもその人は死んでしまう。

でも稀に何回も根気強く原因を除きつづけると助かる人もいる。


そしてあるとき私は織田作が…………死んでしまう事に気付いた。

私はさっき云ったパターンの前者……

原因を一つ除けば助かるというあのパターンだと信じた。

信じていたかった。

だけど、織田作は……後者だった。

必死に頑張って原因を除きつづけた。

何回も何回も、時間を巻き戻して。

助かると信じてずっとずっと。」
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