第1章 さようなら、マフィア
「第一、お前は昔から迷惑ばっかりかけやがって……
今度はなんだ!経歴を洗浄しろだと?ふざけるんじゃない!」
「そんな言い方はないじゃないか!
安吾呼ぶぞ!」
「やめろ」
「じゃあ代わりと云ってはなんだが、治の経歴洗浄が終わるまで特務課で働く!給料はいらないよ!誰かの……そうだな辻村の家に住み着くから!」
「辻村君はやめて。可哀相。
あと治ってお前の弟だろう、どういうことだ。」
「来年、治が特務課に経歴洗浄に来るから!
よろしくね!」
そう軽く云ったら夏目っちは後ろに倒れた。
「えっどうしたの夏目っち。
私のチャーミングな紹介にダメージを受けたのかな!」
「貴様だけでも制御出来ないのに弟だと……?
ふざけるなっ!好い加減帰れ!」
「そんな事云わないでよ!」
予想していたよりもひどい反応だなぁとぼーっと思う。
「じゃあ、未来予測してあげるよ。
私がこれから起こりうる事態・事件を稀に回避するっていうのは?」
夏目っちの苦い顔がさらに苦くなった。
「儂が云ってるのはそういう事じゃない。」
「じゃあ何さ」
「お前はマフィアの首領だったんだろう?
そんなお前がマフィアから突然姿を消してどうなるか予想しないのか」
「……ああ、それなら鴎外に話をつけた。」
夏目っちの顔はどんどん険しくなったけど私は目を逸らさないで云った。
「特務課にとって悪くはないと思うんだけど。」
「………稀では駄目だ。絶対に回避。そして特務課に協力しろ。………それが条件だ。」
夏目っちはしぶしぶ云った。
まぁさっきの条件で受け入れてもらえるとは思っていなかったからそれくらいでも充分譲歩してもらえたのだろう。
「うん、分かった。
じゃあ、早速だけど…私、何処に住めばいい?」