第2章 オーマイリルおでん
「いや、それもう完全に無視されてるよね?イタいよね」
赤々と輝く屋台で、ピンク色に身を包んだ松野家末弟トド松がカラ松につっこむ。今日も今日とて特にやることもない松野家の六つ子達は、チビ太の店に大集合だ。
小さな可愛らしい屋台に6人が仲良く並んで座っており、全員お揃いのTシャツには松模様があしらわれている。6人分同じ柄なのは納得がいくが、6色別々の色のTシャツを松野家の母は何処で仕入れてくるのだろうか?
七不思議ならぬ松不思議だ。
夏らしいパステルカラーのそれぞれの色は赤い屋台で異色を放ちつつも、見慣れた光景である。
「てゆうか、カラ松が人と会話できただけで快挙なんじゃない?」
上から目線でものを言うのは、松野家三男チョロ松通称ライジングチョロシコスキー橋本ニャーLOVEフォーエバーだ。クソ長い通称は長男から賜ったものである。
「まぁあれじゃない?神様も5000年に1回は奇跡起こすもんよ!だーっはっはっは!」
「来て5分でほろ酔いかよ!もうちょっと自粛しろよ!」
「やだぁ!ライジングチョロシコスキーがカリカリしてるー!カルシウム不足なんじゃない?何?しこりすぎたの?」
「こらぁい!クソ長男表に出ろゴラァ!!」
精液の中にはカルシウムが含まれているというが、相変わらず下世話なネタでチョロ松をからかう松野家長男おそ松、人の神経を逆なでする事に長けている彼はチョロ松と相性が悪い。色んな意味で悪いったら悪い。
「おでんうんまーーーい!!」
うるさい罵声が飛び交う中、自分のペースを貫き幸せそうにおでんを大きな口に頬張るは松野家五男十四松だ。底が見えない明るさはよく言えば天真爛漫、悪く言えば狂気、どちらにしても松野家である以上純白の翼の天使という訳でない。怒らせると怖いのは実は彼かもしれない。
「....」
せめて何か言えよとツッコミ待ちの松野家四男一松、無口ゆえかその考えゆえかダークサイドに身を投じてると言われがちだがトド松曰く、ノーマル四男ただの猫好きである。いやノーマルというには語弊がある。ドSとドMの境目にいるちょっとアブノーマルな露出狂である。