第7章 鳥籠の少女
「……いくぞ」
と、エスト王子は手を差しのべられる。私は意味がわからなく、エスト王子とその手を見比べた
「おい…はやく」
「え?」
無愛想にエスト様は私の手をとった。
「今日のお前は俺のものだ」
にやっと意地悪く笑みを浮かべるエスト様。
不覚にも私はドキリと胸が高鳴った
――
王宮に来ることなんて久しぶりね。
「ミア……」
出迎えに、グリフィスト様がいた。
「グリフィスト様、ごきげんよう。」
「ああ。ようこそレオポルト王宮へ、俺の大切な人」
手の甲にキスをおとされる。
「グリフ、なにやってんだよ」
ジトッとした目でグリフィスト様を見つめるエスト様。
「あの…グリフィスト様、大切な人とか」
「嫌だったか」
「いいえ、それは……」
グリフィスト様はくすっと笑みをこぼした
「そうか、嫌がられないで、良かった。」
「うっ……」
負けた。なんて愛らしい笑みだ!!
「とても綺麗だ。どこの馬の骨かもしらんやつにこんな姿、みせたくはないな」
……最近、グリフィスト様が妙に喋る。特に私を褒めてくださるとき。
「……ありがとう。」
「グリフ、今、ミアは俺のものだ。口説くのはやめろ」
「口説く……?」
曇りなき眼をエスト様に向ける。エスト様は逃げ場を探すように
「ああ、もういー!!なんでもねぇ」
叫んだ。エスト様、根負け。
「私など敵でないと……余裕ですのね。」
「っ───」
私を青い瞳がジロリと睨みつけながら、エスト様と私の間を横切った少女がいた
盛られまくった茶髪の髪に濃い化粧。青い扇子で口元を隠し豪華きらびやかな衣装が揺れるたび、美しさを増した
あれは、リリス……!!あの、気に食わぬ者をみるときの表情は忘れるはずがない
悪役令嬢
リリス・メアナイト
「なんだあいつ感じ悪いな」
「リリス・メアナイト侯爵令嬢だ。」
エスト様とグリフィスト様は彼女が遠くなるまでみていた
……あの、さっき私、敵視されましたよね?
これ、死亡フラグ立っちゃったんじゃ……ない?