第6章 双子王子(弟)
「ローレンお兄様、ちゃんと笑えてるかしら!!」
「うん。かわいい」
もう、何十回目なのに、お兄様は嫌な顔せず、この会話に付き合ってくれている
「私、ちゃんと笑えているかしら!!チェイス」
「んー…………。」
ただ、チェイスはこの会話をする前に眠ってしまったけれど
「チェイス、起きて、もうすぐエスト王子におみえになるわよ」
「んー………?」
私が呼び掛けても、応答なし。私が困っていると、ぽんぽんと肩を叩かれた。
ローレンお兄様が大丈夫だと優しく私に微笑んだ
「チェイス、ゴドヴィさんが今日はお前の好物を夕食に作ってくれるそうだぞ」
「っ!!……うれしい」
「すぐ起きた!?」
秒速だったわよ!!
ローレンお兄様、言い切る前に起きたわよね!?
「ほら、もうすぐ、エスト殿下が来られるから、それが終わったら夕食だ、夕食まで頑張ろうな」
ニパッと笑うローレンお兄様にチェイスはコクコクとうなずいた
さすが、ローレンお兄様!!チェイスの扱い方までわかっているなんて!!
やっぱり、ローレンお兄様は頼りになるわね!!
「にしても、ミアはすごいなぁ、王太子殿下2人に気に入られて」
ダニエル=私の父がのほほんと笑っている。
お父様、私の命が関わることなんです。
フラグ折らないといけなくなる相手、増えるんです。
つまり、私の死亡率上がるんです。
それを知って、まだのほほんと笑えますか?
「ミア、顔が怖くなってるぞ」
ローレンお兄様から指摘をうけ、ハッとし、笑顔をつくりなおす
「最近、ミアはローレンやフローラとも仲良くする優しい子になっているけど
最近は奇妙な行動が多いわ、ダニエル。
平民の遊びをするし、ローレンやチェイスは男の子だし」
アンナ=私の母が、儚げにため息を吐いた。周りには幻覚の赤い薔薇が……
「不思議なおてんば娘に育ったわ」
「お、お母さ、ま」
私のこと、そう思って
「昔の方がマナーもより完璧で貴族らしかったのだけど」
白いハンカチを目にあてて、グスングスンと涙を……ああ、お母様……ごめん、なさい。
って、お母様、どうしてそんな、獲物がかかった時のような笑みをしているの……?