第6章 双子王子(弟)
「さっきは見苦しいところをみせてごめんね。」
「い、いや、いいのよ?」
とっても悲しそうな目で見つめられる。
凹まないで!?
私が困るのよ!
ひきつっているかしら、笑顔を作る
「……ごめん、なさい」
フローラのその目に涙がどんどんたまっていく。
「ど、どうしたの?泣くことないのに」
「す、少し思いだしてしまっ……」
長男達を傷つけたこと?
しかしながら、こんなに傷ついて……小さい子どもだものね
「そういえばフローラは風魔法が得意だったわね?」
「へ?」
キョトンとした表情で私を見つめる、フローラ。
「私、まだ、魔法が使えないの。ねえ、お願いみせていただけない」
フローラはまた悲しそうな顔に戻り、顔をふるふると右左に振った
「いやなの?」
優しく尋ねると、コクりとうなずく
「私、魔法が怖いもの。
この前、お兄様達の前で初めて使えるようになった魔法を披露しようとしたら……私……
お兄様達を傷つけてしまったの」
「人生、失敗はあるわ。この出来事が、貴女にとって失敗なら、それをどうするか、ちゃんと向き合わなくてはならないわ」
「そう、よね」
ああ、この言葉は今のフローラをますます苦しめてしまうかしら。
「でもね」
私は、フローラの鼻先を人差し指で触った
「もし、逃げたいのなら、言い訳をせずに逃げるの。
怖いから、それでいいの。もう、その言葉で出来事を終わりにするの。
絶対に考えないように、終わりにする。
新しい自分を見つけるのよ、それはどんなに辛くとも、そこには……貴女の求めた、形が存在するわ」
励ます、というのは性にあわないわね。 少し、照れ臭くて、ニコッと笑ってみせた
「忘れる努力、嫌なことを忘れる努力ってこと?」
「それは少し違うわね。
どちらかというと、嫌なことを思い出に変換するのよ。
それをできるだけ早くするには、勇気、変わろうとする心と、ま、いいかと自分を許す、完璧を崩す必要があるわ」