第4章 お兄様の秘め事
ペロリ……
頬に、温かな、いや、ぬるりとした触感が伝わる。
「あのね、チェイス。
それ、犬がやったらかわいいやつ。
貴方、私の義弟になるのよね」
「ごめん、つい、やる、して、しまう」
シューン……と、悲しそうに目を潤ませる、可愛すぎよ。義姉は心配よ
まだ、1週間も経っていないのに、人間の言葉を習得したチェイス。
私も頑張ったわよ。
マナーはまだなってないけど
「ミアとチェイスは仲良しだな」
ローレンお兄様の棒読み、ひきつる作り笑顔。
初めて棒読み、聞きました。
「ミア、義兄も…仲良くしてくれよ…?」
隣で特等席!というようにドヤッとした顔で私の太もも、枕の代わりにしている、チェイスにさらに、何か黒いオーラを感じる
「ま、まさか、お兄様ったら、チェイスに嫉妬していらっしゃるの!?」
「……ぐっ、そりゃ…可愛い義妹とられたし……」
口を尖らせて、少し頬を赤らめて……
ああ、これは夢……?
夢なの?
もう、胸がドキドキしてしまいますわ!!
「俺は……意外と嫉妬深いんだな……ミアのことだと、義弟に妬くなんて」
苦笑いして、恥ずかしそうにクシャッと笑う。
「い、いえ、う、嬉しかったわ!」
「……ミア、よかった、ローラン、ミア、好き、よかった」
うんうん、と頷いて、嬉しそうだ。
「ロー"レン"」
いつものように、言い直され、チェイスはワンッ!と吠えた。
「はははっ、よしよし」
機嫌を治したローレンお兄様はわしゃわしゃとチェイスの頭を撫でる。
今日も、爽やかでステキ……ステキ?
「あら……ローレンお兄様、少し目にくまが…」
「え?あぁ……最近、寝つきが悪くて」
ローレンお兄様は困ったように、笑った。
「大丈夫だ……、心配してくれてありがとうな、ミア」
「……本当に大丈夫?」
「ああ。でも、今日は疲れたし、今から寝てくるよ」
ローレンお兄様は歩いて、自室に戻られていく。
……ふらふらしてる、本当に大丈夫かしら。