第4章 お兄様の秘め事
ふう、お手洗いをすませて裏口から回って会場に行くことにした。
私は道に迷ってしまったのである。
人に訪ねるのも……ね?
「今度こ………だから……そいつは」
ん?裏から回り込んでいるハズなのに、人の声がする。同じ迷い子か?
私はそちらに興味本意で向かうと、ひげを生やした悪そうなおじさんとそのおじさんに首輪をはめられた、美少年。
ここには似つかわしくない、上等なシルクのコートをまとったバーデン男爵もいる
「へい、その通りでさぁ
人を魅せることに関していえば、この坊はかなりの腕前でさぁ
どの令嬢も、子息も人目みただけてこいつに惚れてしまう」
……これって、奴隷の売買?
「本当だろうなぁ、おい、顔をあげてみろ」
疑うようにバーデン男爵は美少年に命令する
少年は顔を上げると本当に人形のような顔立ちだった。
美しい海のように濃い髪にグラデーションのかかった水のような淡い瞳。
どこか儚げで守ってやりたくなるような雰囲気をもっていた
バーデン男爵は息を呑んだ。その少年の美しさを間近でみては動けなくなるらしい。
私はハイスペックなイケメン連中が周りにいるせいか、彼の魅力はききませんけど
「これなら……これならば……必ずや第二王子も虜よ!長年の恨み、今晴らしてやる!
これで、暗殺は成功するはずだ」
高笑いをするバーデン男爵。対して私はあまりに驚いて呆然としてしまう。
少年を暗殺につかう?第二王子ですって……?
王を継ぐ者を決めるため、敵を、家族を蹴落とす。 暗殺なんて世の常だ
でも、グリフィスト様は……
「あら、こんなところで奴隷の売買?」
「いきなり人の取引になんのようだ!!」
バーデン男爵は私をみてさっきまでの怒鳴った勢いが嘘のようになくなり顔を真っ青にする
「こ、これは!!リリアンヌ令嬢」
私が上の地位だとみて、賢いバーデン男爵は歯向かうことをしない
「そちらの少年は私が、バーデン男爵の出す金の二倍で買い取りますわ!!」