第31章 Platinum ( 木兎光太郎 )
赤「おかえりなさい、木兎さん」
「おう···」
体育館へ行くと、既に練習を始めているみんながオレを見る。
赤「その様子だと、無事に砕け散って来たようですね」
「あかーし···知ってたのか?」
赤「···何をですか?」
サラリと言って退けるあかーしに、言葉が続かねぇ。
「いや、なんでもねぇ···オレの胸がチクリと痛んで、終わった」
赤「保健室へ行ったのは、腹痛だったんじゃないんですか?」
あかーしが口元に薄く笑いを浮かべながらオレを見る。
「知らね···どこもかしこもチクチク痛くて、忘れた」
赤「さすが木兎さんですね」
さすが?
さすがって?
オレがさすがなのか?
じゃあ···
オレってスゲーんじゃん!!
「あかーしトス上げてくれ!!スゲーやつ、バシッとキメてやっから!」
赤「勿論です。木兎さんの気が済むまで、いくらでもトス上げます」
「よっしゃ!!じゃあ早くやろうぜ!」
コートの中のメンバーに、試合やろーぜ!と声をかける。
なんでオレが遅れて来たかなんて、誰も聞いて来ねぇ。
それは多分、あかーしが説明したんだろうけど。
でも。
「木兎···腹痛は治ったのか?」
「拾い食いすんなよなぁ?」
多少のイジリは降ってくる。
赤「木兎さん。俺は何度でも木兎さんにトス上げますから、木兎さんのモヤモヤがスッキリするまで···好きなだけバレーして下さい」
「あかーし!マジで?!」
叫んだオレをあかーしがチラリと見て、何も言わずにコートに入る。
ずっとモヤモヤしてたモンがハッキリして。
胸がちチクリと痛かったけど、それが恋だったんだとわかった。
だったら後は···やっぱりバレーだろ!!
「ヘイヘイヘーイ!あかーし、早くやろうぜ!」
気合い入れた声が、いつもに増して体育館に響いた。
~ END ~