第25章 いつか王子様に ( 日向 翔陽 )
···いや、ち、違う!
あれは事故だから気にしないって言ってたし!
思いださないようにしてても、つい、自分の手を見てしまい···か、顔が熱くなる。
澤「日向、もしかして···」
菅「もしかしなくても···この日向の様子は、脈、アリ···だろ」
ハッとして顔を上げれば、キャプテン達がなんかニコニコしておれを見てる。
「なん、ですか?」
菅「い~や、気にすんなよ。な、大地?···あの日向がねぇ···うんうん」
澤「そうそう、気にすんなって!···日向もお年頃だからなぁ···ウンウン」
メチャクチャ気になりますよ!!
「そんなニコニコした顔で見られても、別に城戸さんとは何でもないですから!ただちょっと、モヤモヤするだけで、他にはなにも···」
菅「そのモヤモヤってさ、日向が紡ちゃんの事を好き、っていうか、気になってるって事じゃない?」
おれが、城戸さんを?
「いえ、よく分かんないです···それに城戸さんは、その、彼氏···いる、し」
澤「彼氏?いたっけ、そんなやつ」
菅「さぁ?聞いたことないけど?」
だって、城戸さんは多分···
「縁下さんと···え?!」
自分で口に出してビックリする。
澤「縁下と?」
菅「紡ちゃんが?!」
ふたりが顔を見合わせて、一瞬の間があく。
澤·菅「ないないない!絶対ない!」
「でも見たんです!ふたりが仲良く買い物とかしてるの···声、かけようかと思ったんですけど···すごく仲良さげにしてて···」
買い物した荷物を、縁下さんが俺が全部持つよって言ってたり。
澤「それ、いつの話?」
「年内最後の部活の、一日前···ですけど···」
澤「···やっぱり。じゃ、それは違うな」
菅「その日は清水がどうしても外せない用事があって、清水の代わりに縁下が一緒に備品の買い足しを紡ちゃんと一緒に行ったんだよ。オレや大地は運動部の鍵閉め当番があったから行けなくてさ」
澤「そういう事。だから、一番確実に手伝ってくれる人材をって、俺が縁下に頼んだんだよ」
キャプテンが、縁下さんに?
「で、でも!両手にたくさん荷物を持った縁下さんに、お菓子をアーンって食べさせてたのも見たんです!」
澤「それは両手が塞がってたからだろ」