第24章 私だけの〇〇〇 ( 灰羽リエーフ )
黒「はいは~い、コチラ恋の迷子預かり所デース!」
『勝手に出ないでください!』
そう声を上げても、黒尾さんは手をヒラヒラさせて笑っている。
リ ー 黒尾さんっ!なにつーちゃんの電話に出てるんですか!っていうか、さっきのは何なんですか?! ー
黒「さぁね~?30分以内に取り返しに来なければ、オレが紡を美味しく頂く。んじゃ、そういうことで」
美味しく···?
頂く?!
なんとなく身の危険を感じて、自分で自分を抱きしめる。
黒「別に取って食おうとは思ってないって。あれはリエーフへのお灸だ」
『お灸、ですか?』
研「リエーフがフラフラしてるからで、あ、電話。もしもし、いる。そっちもいる。うるさい、勝手にどうぞ。切るから」
黒「リエーフ、頭使ったな?で、何だって?」
今の電話、リエーフからだったんだ···
研「近くにいたみたい。もう来るよ、多分」
『来るって、リエーフがですか?!···か、帰ります私!』
荷物を掴み、立ち上がろうとすれば黒尾さんに腕を捕まれ座らされる。
どうしよう···さっきあんな風に勝手に居なくなったから、リエーフに会いづらい。
膝を抱えて、小さくなっているとバタバタと足音がして勢いよくドアが開けられた。
リ「つーちゃん!大丈夫!お嫁に行けなくなってない?!」
ハァハァと息を切らせながら、リエーフが駆け込んで来た。
黒「リエーフ、お前ねぇ。オレをそういう風に見てたワケ?」
リ「だ、だって美味しく頂くって!···オレだってまだなのに!」
『えっ?!』
リエーフの言葉に、黒尾さんが急にニヤニヤしながら距離を詰めてくる。
黒「へぇ、それはそれは」
『な、なんですか···』
ジリジリと下がりながら、一定の距離を保つ···努力をする。
リ「ダメです!つーちゃんはオレだけのお姫様なんだから!」
お···お姫様?!
リ「誰にも渡さないし、触らせません!」
リエーフのスラリと長い腕に包まれ、抱き寄せられる。
黒「だってよ、紡」
『リエーフ···』
そっと上を向き、リエーフの顔を見る。
リ「さっきの女の子達は、ずっと話しかけて来てて。電話番号交換しないと帰らないって言われて。それで、オレ···」
そんなこと、さっきは何にも言わなかったじゃん···