第22章 僕だけの青いイチゴ ( 月島 蛍 )
『うん、そう!絶対そう!···あぁ、トンデモ発言でビックリしてドキドキしちゃった···』
トンデモ発言でビックリしたのは、僕もなんだケド。
むしろ、トンデモ発言してるのは···
「ポチ···鈍すぎ。王様の鈍感が感染したんじゃない?」
『影山?なんで?』
ほらね、やっぱり鈍感。
菅「あーっ!また月島が!!」
騒ぎ出すギャラリーにお構いもなしに、撫でたばかりの頬をムギュってつまんでやる。
『ひょっと!はにふんの!!』
「···餌を溜め込んでるハムスターみたい」
フッと笑って、すぐにいつもの僕の顔を作る。
他の誰にも、見られないように。
「はぁ、興醒めした。早く行けば?マネージャーの仕事、先輩1人に押し付けるつもり?」
『あ!そうだった!じゃあね月島君!』
バタバタと走り去る後ろ姿を見て、じゃあねと言われた事がちょっとイラつく。
じゃあね···か。
いつか、そのじゃあね、が。
また後でね、に変わる日が来るんだろうか。
···どうだろうね。
なんせ、僕のイチゴは真っ青で。
更に、鈍感ハムスターだから。
やれやれ、と大きくため息を吐きながら壁にもたれてスクイズを口にする。
ドリンクはこんなにも甘いのに。
現実は、こんなにも酸味が効いてるとか、ないデショ。
はぁ···と、また息を吐く。
山「ツッキー、もう疲れたの?まだ練習始まったばっかりだけど?」
「山口、うるさい」
山「ごめんツッキー···」
僕の周りは、まだまだ···静かで穏やかにはならないようだ。
~ END ~