第20章 未来予想図 ( 東峰旭 生誕 )
あぁ···なんてついてないんだ。
新年早々、こんなのとかないだろ···
日頃の行いが悪いからだと、大地にディスられたし。
今頃みんなは、揃って初詣へと出かけてるんだろうな。
はぁ···
静かな部屋にため息ばかりが繰り返され、自分を更に虚しくさせる。
「旭、入るよ?」
ガチャリと音が響き、その音にピキっとこめかみが動く。
「母さん···頼むから静かにドア開けてくれる?頭が割れたらどうするんだよ···」
「なぁに言ってんの!こんなにデッカイ体して、ホント気はマイクロ並に小さいんだから!それに、こんな日に急に熱なんて出すアンタが悪い!」
···すみません。
そして母さん、もっと小声で話してくれ。
「ほら早く熱計って。普段は何ともなく健康なくせに、なんでこんな日に限って大熱出すかねぇ?お正月も誕生日もへったくれもない!」
「そこまで言わなくても···」
「あ、そうだ。さっき澤村君が来てね、コレ置いてったわよ?」
大地が?
ガサガサと音のする袋に目をやれば、ドリンク剤やらプリンやら、なんか色々なものが顔を覗かせていた。
「アンタ、澤村君みたいな友達がいて良かったわね~?ウチのお父さんみたいに男前だし!母さんがもっと若かったら、ガンガンアピールしちゃうのに!」
···いや、ないない、絶対にない。
そもそも、母さんがもっと若くても大地の好きなタイプは母さんとは違うよ。
大地の好きなタイプは、確か···小柄で、元気いっぱいで、同じ価値観を持ってくれる、だったっけ?
母さんはどう考えても、違う。
それに、父さんみたいに男前だ···って思うなら、父さんでいいじゃんか。
ピピピピッ!
「ほら体温計出して···あちゃ~、39.1か。まだまだ高いわねぇ。インフルエンザかしら···病院やってないし困った困った」
母さんそれ、ホントに困ってる?
「ま、とりあえず寝ときなさい。薬はさっき飲んでるし、寝るしかないでしょ?ご飯はいつでも作ってあげられるけど、今は食べれなさそうだし」
「うん···ゴメン」
「って、事で?澤村君から貰ったプリン、お母さん食べていい?」
なんでそうなる?とツッコミたかったけど、熱のせいで朦朧として、面倒なのが先立ち片手をモゾッと上げる。
「なんかあったら、スマホからでもいいから呼びなさい?じゃあ、早く寝る!」