第17章 悪夢は何度でもやって来る ( 烏養 繋心 )
先生の言葉を借りるとするなら、それこそ。
ノスタルジー···だな。
オレっぽくない言葉だけどよ。
体育館の前まで来て、ボールの音や中にいるヤツらの声が聞こえ、青春だねぇ···なんて心で笑う。
武「さ、烏養君。みんなに紹介しますね?」
上機嫌の先生に背中を押され、入口へと並び立つ。
グルリと視界を動かせば、むさ苦しい男の中に女子が二人もいやがる。
クッソ···オレらの時代には、女子マネージャーなんていなかったっつうのによ。
部員以外でいたのは、ウチのクソジジイ···ただひとり。
やっぱ世の中に神さんなんていねぇんだな。
それとも、時代の流れか?
どちらにしても、今のこの現状は···オレの自己責任だ。
やるっきゃねぇ!!
と、気合い入れたまでは···よかったんだが。
『あーーーーっ!!ハゲつる繋心?!嘘だ!だってハゲつるじゃない!!』
「ぬわぁっ?!今言ったのは誰だ!堂々と悪口かましやがって!!」
「お前、アニキはいるか?」
『あ、はい。います、けど···』
「何人いる?」
『双子なので、2人、になりますけど』
「ふ、双子?!···名前は?」
『桜太、と···慧太、です』
「···」
まさか。
まさかここに···
あのブラックツインズの妹がいるだなんて。
「お、おおおお前やっばり!ブラックツインズの妹か?!ウチのジジィにベタベタに甘えてた、あの紡かっ!!」
『ははははいっ!じっちゃが大好きな城戸紡ですっ!······え?ブラックツインズ?』
···誰が、予想したよ。
そんでもって、改めて思う。
この世に···神さんは、いねえわ。
···はぁ。
思い出がたくさん詰まってるはずの体育館に、オレのため息が虚しく響いた。
~END~