第15章 スポーツの秋?それとも恋の秋?!( 黄金川貫至 )
『洗濯機回してたら、柔軟剤切れかかってるのに気付いてね、えっと・・・どこに置いてあるんだろう?・・・あ、これかな?』
ロッカーの上に乗せてあるカゴにそれを見つけ、城戸が背伸びをしながら手をかけるも指先しか届いちゃいねぇ。
『もう!あとちょっとなのに!二口先輩なんでこんな所に置くかなぁ!』
「コレでいいのか?」
オレなら、余裕で届く。
だから何も考えずに城戸の背後から手を伸ばし、カゴを取ってやる。
『ありがとう黄金川・・・君・・・』
「いや?別、に・・・」
ちっ!!
近ぇ!!
お互いの無意識の距離に、同時に硬直する。
ヤベぇ・・・心臓が飛び出しそうだ。
「わ、悪リィ・・・」
『あ、うん・・・大丈夫・・・洗濯機の所に戻るね。あ、遅くなったら悪いから先に、』
「待ってるッス!・・・終わるまで絶対・・・」
『・・・ありがとう』
足速に城戸が部室を出て行き、静かな時間が訪れる。
やっぱりオレ・・・城戸が好きだ・・・
ロッカーにもたれかかり、大きなため息を吐く。
ー 当たって砕けろ!みたいなさ? ー
舞さんの言葉が頭ん中をグルグル回る。
今なら思う。
当たって砕けてもいい!
砕け散ったら、欠片を集めて何度でもチャレンジしてやる!
・・・男なら、勝負あるのみ!
数日後の体育祭に向けて、オレは1人覚悟を決めた。
そして、体育祭当日・・・
城戸は見事にぶっちぎりで自分の種目を堂々1位でゴールし、通りすがりの二口さんや鎌先さんたちに構われながら帰ってくる。
1位の嬉しさのあまり、青根さんに飛びついたりもしてた。
オレも、もう少しで二口さんと一緒の借り物競争だ。
チラッと茂庭さんたちからの情報によれば、お題は工業高校ならではの道具や名物先生とか、あとは無理難題、そんなものがあるらしい。
道具、だったら。
名物先生、だったら。
そんな事を考えながら、各場所をイメージしておく。
『黄金川君、もうすぐ集合する時間だから遅れないようにね?』
「ッス!」
『ちゃんと応援してるから頑張ってね!』
二「つーちゃん、オレも応援してくれよ~!そしたら黄金川ぶっちぎって頑張るからさぁ?」
『ど、どっから湧いてきたんですか!びっくりした~・・・』