第15章 スポーツの秋?それとも恋の秋?!( 黄金川貫至 )
二「つーちゃん、爽やかに笑いながら、サラッとオレをディスるなよ・・・」
「いま、休憩中ッスか?」
二「いや?ちょっとつーちゃんの顔見に来ただけ」
ちょっと見に来たって・・・二口さん主将ッスよね?!
滑「二口~・・・キャプテン自らサボるんじゃない!!」
・・・もっと言ってやって下さい。
『黄金川君、鼻血止まるまでは練習戻れないからさ、端っこに行こうか?』
「おぅ・・・」
『あ、タオルはそのままでいいから』
「そしたら前が見えねぇし」
『あ、そっか・・・じゃ・・・危ないから手を引いてあげる』
はっ?!
『ほら、遠慮しないで?』
いや、遠慮はしない!
むしろオレ的ラッキーだけど!!
二「あー!!つーちゃん!オレも!」
滑「アンタは練習しなさい!!」
騒ぐ二口さんは先輩マネに任せて、オレはちょっと躊躇いながらも差し出された城戸の手に、自分の手を重ねた。
・・・ちっこい、手だなぁ。
でも、なんか暖かくて・・・柔らけぇ・・・
出来るなら、こんな手当てついでとかじゃなくて・・・当たり前の様に、繋いでみてぇ。
そう考えていると、片隅に二口さんがチラついて、モヤっとする。
二口さんは・・・城戸の事オープンにアピールしてる。
けど・・・?
城戸は、どうなんだ?
さっきみたいにほっぺにチューとかされて、どう・・・思ってんだ?
二口さんは、はっきり言ってチャラい。
チャラいけど、それなりにモテる。
工業高校としては珍しく女子が多いウチの学校でも、大半の女子が二口さん狙いだと言っても過言ではない。
いや過言か?
3年には鎌先さんもいるし、表立って目立ってはないけど、茂庭さんだって優しいとかキチンとしてるとか、なんかそういう事で人気がある。
もし、城戸もその女子の中の人だったら。
オレ、勝ち目ねぇじゃん・・・?
待て待て待て、その前に、だ!
城戸は、あの泣く子も黙る・・・いや、泣く子がチビる強面の青根さんにだって妙に懐いてる。
あの無口極まりない青根さんが、城戸と普通に話してるのとか何度も見たことあるぞ?
・・・って事は?
もしかして城戸は青根さんが?
やべーよ、オレ。
更に勝ち目なくね?!
それなら傷が浅いうちに・・・諦める?