第13章 オレの道標··· ( 東峰 旭 )
ー うちの爺さんが、アサヒって名前が好きだったんだよ。どんなに辛い日が続いても、必ずアサヒは昇るってね。ヒカリってのは、アサヒが昇るとヒカリが差すだろう。そこから名付けたんだよ ー
どんなに辛くても、アサヒは昇る···か。
少し前の、挫けていたオレが聞いたらどんな顔をしたんだろうか。
『素敵···いい名前ですね!···ね?アサヒ先輩?』
イタズラに笑いながら、城戸さんがオレに同意を求めてくる。
ー おや?お兄さんもアサヒ君って言うのかい? ー
「えぇ、まぁ···」
ー 親御さんもきっと、お天道様のように大きな人になりなさいって思いを込めたんでしょう ー
「そう、でしょうか···」
ー きっと、そうですよ。だから何かに躓いても、常に前を向いていなさい。そうすれば、いつも光り輝く物を道標にして、心迷うことはないでしょう ー
おばあさんの言葉が、ストンと心に落ちていく。
常に前を向いて。
それは、つい最近···違う形でオレに道を開いてくれた誰かさんが同じ事を話してくれた。
やっぱり、不思議な子だな。
猫用のオモチャで子猫と遊んでいる姿を見て、自然と表情が緩む。
これから先、常に前向きに。
そう心に誓って、子供のように遊び続ける城戸さんを見て、また···笑った。