第13章 オレの道標··· ( 東峰 旭 )
菅「今日も雨かぁ。連続3日間降り続けるとか···天気どうなってんだよ」
ため息混じりのスガの言葉に、確かに今日で3日目の
雨だよな···なんて頷いた。
澤「まぁそう言うなって。晴ればかりじゃ至る所が枯渇するだろ?」
菅「枯渇とか···大地は何でそんなドーンと構えて落ち着いてんだよ。雨だよ雨!雨降ったら傘をさすだろ?そうすると自然に紡ちゃんとの距離が空いちゃうんだよ?」
スガはホントにあの子の事がお気に入りなんだな。
まぁ、その気持ちも分かるけどね。
小柄ながらに、どんな事にも一生懸命で頑張り屋さんだからな。
オレが部に戻って来れた理由のひとつも、あの子の一生懸命さに冷たく固まってしまった心が溶かされたっていうか。
澤「スガはそればっかりだなぁ。そんなに城戸さんと一緒にいたいなら、相合傘でもすればいいだろ?」
菅「相合傘···大地!ナイスアイデア!よし、今日は相合傘してみるか!」
大地の軽い提案に嬉々としながら、スガは傘を回してついた雨粒を飛ばす。
「今日は···って。さすがに朝から降ってるなら城戸さんは傘、持ってるんじゃないかな」
菅「···そんな事分かってるよ。いいじゃん別に、ちょっとくらい妄想したって」
妄想とか···
「でも、そんなにあの子が気になるなら、どうして···?」
菅「いいの!オレは今はこのままで。ちょっかい出して、ケラケラ笑って···それだけでいいんだよ、今は」
そんな事してて、そのうち誰かに持ってかれたら···とかは、思わないんだろうか。
澤「怖いんだろ、スガは。今のこのバランスの良さが壊れる事が、ね」
菅「···まぁね。オレがアクション起こした事で、チーム内がギスギスするのも嫌だから。それにさ、なんて言っても紡ちゃんに嫌われたらオレ、生きていけない」
「そこまで言う?!」
菅「うるさい旭!いいの!オレはそれくらい紡ちゃんが大好きなんだから!···紡ちゃ~ん、大好きだぁ~!」
んな恥ずかしい事を堂々と叫ぶなよ···
『はい···えと、ありがとう···ござい、ます』
予期せぬ声に、オレ達は一斉に振り返った。
菅「紡ちゃん?!え?!い、今の聞こえた?!」
『はい、まぁ···』
あれだけの大声、聞こえるだろ。