第5章 ファーストキス
「あーーー! ひっさしぶりに泣いた!」
「孝支、昔はよく泣いてたもんねー?」
「昔は昔だべ? 紗奈だってしょっちゅうびーびー泣いてただろ?」
「私は女の子だもーん♪」
「それはずりぃべー?」
「きゃははっ、くすぐったい!!」
俺が紗奈のわき腹をくすぐると、紗奈はバランスを崩しベットに倒れ込み、俺も巻き添えをくらい押し倒したような形になる。
「「………………」」
お互い見つめ合い、そして口付けた。
「……ファーストキス」
「えっ!? マジ!??」
まさか、あんな事してるからキスもしてるもんだと思っていた。
「キスは、したことない……」
頬を赤く染めながら紗奈が言う。
それが愛らしくて、もう一度口付けた。
「んっ……こ、し……んっんぅ……ふぁっ、んっ……」
そっと舌を忍び込ませれば、紗奈も恥ずかしそうに返事をくれる。
お互いたどたどしい舌遣いでも、ゆっくりとお互いを確かめ合い求め合う。
重なった唇を離せば、名残惜しいかのように二人の間に銀糸が伸びる。