第5章 ファーストキス
久しぶりに、紗奈の本当に笑った顔を見れた。
俺は嬉しくて、悔しくて────。
「孝支、なんで泣くの……?」
「自分が……不甲斐ない……」
────涙が止まらなかった。
「紗奈が、辛いのわかってたのに……ボロボロなの、気付いて、たのに……俺っ……逃げてた……」
「よしよし……頑張ったんだね……ありがと、ね……」
よしよしと紗奈に頭を撫でられる。
本当ならば俺がやる立場なのに。
本当に俺はどこまでもみっともない奴だ。
紗奈は俺が落ち着くまで、優しく頭を撫でてくれた。
俺は紗奈の優しさに甘え、思いっきり泣いた。
これからは、もう泣かない。
俺が紗奈を守ってやるんだから!!!