第5章 ファーストキス
紗奈は一気に話終えると、ふぅっと息を吐いた。
表情一つ変えず、淡々と話し続けた紗奈。
俺は、知っていたのになにもしてやれなかった。
「ごめん……」
「なんで孝支が謝るの?」
「俺、紗奈の事、守ってやれなかった……」
「……守ってなんて、言ってないもん……」
俺はどうしていいかわからず、紗奈の身体を強く抱きしめた。
「孝支、痛いよ……」
「紗奈、これからはちゃんと守ってやるから……もう、強がんなよ!!」
「…………痛い、よ……」
この手を離したら、紗奈がどこかへ行ってしまうような気がした。
「紗奈……愛してる」
「孝支……」
身体を離せば、紗奈は困ったような顔でこちらを見ている。
「これからは、ちゃんと俺が守る。お前の母ちゃんにも、一緒に話そう!」
「孝支……ありがとう」
「もう俺は逃げない、ちゃんと向き合う。アイツが来たらすぐ連絡しろ! ドアぶち壊してでも飛んでく!!」
「ふっ……孝支の力じゃ壊れないよ」
「俺だって、やる時はやるんだからな!!」