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君の計算を狂わせたい【黒バス/花宮】

第12章 楽しい未来




昨日はお互い疲れていたのか、夕食を終えると私も花宮もすぐに寝てしまった。

私は自分の部屋で。

花宮はソファーで。

これからのことを考えれば、花宮にも新しい布団が必要だろう。

布団だけじゃない、揃えなくてはいけないものは山のようにある。


新しい生活。

変化はわくわくを伴ってやってくるのだ。


変化といえば、朝起きて大きく変わったことが一つあった。


「越智さんは朝、ごはんとみそ汁派なんですね」

「……そうだね、その方が多いかも……もしかして花宮パン派だった?」

「パンとコーヒーですね」

「だったら私もこれからそうしようかな。別にこだわりないし……っていうか……」


私がいぶかしげな視線を送ると、花宮はお椀を持ち上げる手を止めた。

たぶん、私の言いたいことは伝わっているだろう。


「なに、その、越智さんって……」

「変ですか?」

「違和感ありまくり」


私が大げさに二の腕をさすってみせると、花宮が眉をひそめた。


「なんで突然敬語になったの」

「俺、年上には敬語を使うようにしてるんで」

「だって、昨日まで使ってなかったじゃん」

「それは……なんていうか、タイミングの問題?」

「あっ……もしかして、私が頼りになるって気づいちゃった?」

「おい、あんまり調子にのるなよ」


花宮の目が細くなる。

こういうところは変わってないみたいで少し安心した。


花宮はお椀を傾けると、ぼそりと呟いた。


「いちおう、これはけじめなんだよ」

「けじめ?」

「これから居候になるから、そういう意味でのけじめ」

「ふーん」


花宮はそれだけ言うと、自分の食器を持って立ち上がった。

その食器たちはこれから花宮によって洗われるのだろう。

ここにきてすぐのときからそうだったけど、ちゃんと自分の家事は自分でしている。

それ以外のことも、気づいたらしてくれる。

意外と……って言ったら失礼だろうけど、花宮は高校生にしてはしっかりしている。

けじめというのも、そういうところからきているのかもしれない。


ただ、敬語になるとどうしても以前より距離を感じてしまう。

本人がけじめだって言っていることをやめてとも言いづらいし……

しかたないのかな。



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