第70章 【ヤンデレ】×【依存気味】
「じゃあ、行く前に1時間だけ俺にくれない?」
お昼前だから今から1時間後でも
多分明るいうちに帰って来れるだろう。
「うん、」
満足そうに頬を緩ませて、私に抱き着いた。
「ねえ、俺、誕生日なんもいらないよ?」
なんとなく、空ならそう言うと思っていた。でも、折角だしなにかしたい。
「それじゃダメなの。」
そう言うと空は黙り込んでしまった。
考えていたのか少しして、ぽつり、小さな声がした。
「じゃあ……雨衣の人生をちょうだい。」
プロポーズみたいなことを君は簡単に言ってしまう。
でも、空にとっては結婚とかよりも大事なことなんだろう。
抱きついたまま私を見る。
可愛いと思ってしまって、負けた気がしてしまう。
「俺だけ見てて。他の奴のことなんて目に映らないくらい俺を好きになってよ。」
泣きそうな顔で私を見る。