第67章 【妖怪】×【秘密のある少女】
「起きて。」
トントン、と君の肩を叩く。
君はほんの少し動いて、少し後に目を覚ます。
「もう夕方だよ。大丈夫?」
君は腕に着いた時計を見て、
急がなくちゃと困ったように笑った。
「また明日も来てくれる?」
「はい!!もちろん!ここの場所を覚えるまで、
昨日の場所でもいいですか?」
「うん。待ってる、」
君は首に付いた紅い跡に一瞬触れてから、
俺に手を振って走ってどこかへ行ってしまった、
それからも君は変わらず毎日来てくれた。
たまに来ない時もあったけれど、
次の日にはちゃんと来てくれた。
初めて話したあの日からどのくらい経っただろう。
もう君とは随分仲良くなったと思う。
色んな話もして、君を知る度もっと好きになった。
けれど、いつまでもこの関係を続ける訳にはいかない。
ずっとこうして、正体を隠しておくことは出来ない。
「空?居ないの?」
今日もやっぱり君は俺に会いに来てくれた。
姿を隠している俺を君は必死に探していた。
失うのが怖くて逃げる俺と、
失うのが怖くて探す君じゃ、生き方も種類も違う。
これで最後にしなきゃ、君は幸せになれない。