第67章 【妖怪】×【秘密のある少女】
「でも、ありがとうございます。嬉しいです。」
折角教えてくれたのに、断るのは失礼だと思った。
それに嬉しいのは本当だ。
森の中の神社のような、不思議な場所だった。
辺りを見渡して、感想を伝える。
「とても素敵な場所ですね。」
けれどその声は、誰にも届かず空に消える。
さっきまであの人が居た場所には、誰も居なかった。
きっと1人になれる場所が欲しいと言ったから、
どこかへ行ってしまったんだろう。
「本当にありがとうございます」
届いているかは分からないけれど、
改めてあの人にお礼を言った。
1人すぐそこへ座ってぼんやりしていると、
段々眠くなってきて、目が覚めた頃はもう夕方だった。